平成30年度 第27回 とちぎ教育振興大会 郷土の偉人紹介

演題 「那須そ水を築いた 矢板武 と 印南丈作」
講師 「鹿沼市立板荷中学校 教諭 青木 靖 氏」

 

 那須そ水は、明治時代に那須野が原の開拓を担う「核」として開削が進められ、完成後は現在も那須野が原全域の農業用水として活用されている。平成29年には、「世界かんがい遺産」に指定され、多くの観光客が訪れている。また、那須そ水の開削事業については、「明治時代がどのような時代だったか」という時代像を考える学習、先人の偉業を学び当時の郷土の様子を学ぶ学習などで、小学校や中学校の授業でも取り上げられる場合が多い。
 今回の発表では、那須そ水の歴史的な意義、矢板武や印南丈作の業績の説明に加えて、このような地域素材をどのように学校の授業で扱うか、授業を進める上でどんな配慮が必要かなどについて、講師の青木先生より実際の授業での経験をもとにしたわかりやすい説明があった。

 

Ⅰ 郷土学習で紹介される「矢板武と印南丈作」
「とちぎのひと」→「とちぎにゆかりのある人物」→「矢板武と印南丈作」→「〇 矢板武と印南丈作とはどのような人物か」
矢板武と印南丈作は、不毛の土地であった那須野が原の開拓に努力し、明治18年(1885年)に那須疏水の開削を実現させ、荒れ地を豊かな農地に変えました。実現に至るまでには、二人の大変な努力・苦労がありました。疏水の開削だけでなく、栃木県内各地で重要な仕事を次々に行い、県の産業や経済の発展に尽くした人物です。
〇 矢板武と印南丈作の略年表 ※ 矢板武・印南丈作の一生をさぐってみよう
県北 活躍分野多岐
政治 学校建設・整備 日光東照宮と周辺の育成・保存 那須野が原の開拓
経済 国道4号 JR宇都宮(東北本)線 銀行の設立
「〇 二人はなぜ那須疎水をつくろうと思ったのか」
(1)那須野が原とはどのような場所だったか

那須野が原とは、現在の那須塩原市・大田原市にまたがる、4万ヘクタールともいわれるとても広い原野が広がっていました。石ころだらけの荒れ地で、雨が降ってもすぐに地中に水がしみこんでしまう砂や小石の土地でした。水は地下40mもの深いところにあり、人や作物に大切な水が不足していました。
(2)那須疏水完成までの二人の苦労
 当時、那須野が原は北海道をのぞいて、我が国最大の原野でした。二人はここを開拓するために、疏水を作る計画を立て、工事の資金を調達するために国の役所に働きかけを行いました。やがて、自分たちで費用を出してまでも工事を実施しようとする二人の熱心な思いが通じて、国から費用が出ることになり、明治15年(1882年)には、まず飲み水用の水路を完成させました。工事を進めるなかで、水路ができても水がしみこんでしまい、途中までしか流れなかったりしたため、工事には多くの資金が必要となりました。このように、工事には大変苦労しましたが最後まであきらめずに努力しました。これが本格的な「那須疏水」を作るきっかけとなり、明治18年(1885年)には、とうとう西岩崎から千本松までにいたる、全長約16.3kmの水路が完成しました。この工事は1日平均にして、約115mというこのころとしてはすばらしいスピードで進み、わずか5か月という短い期間で完了しました。那須疏水が完成したとき、人々は涙を流し、手を取り合って喜んだといいます。
※ 栃木県連合教育会「しもつけ物語 人物編・第7集」、農林水産省HP、栃木県教育委員 会HP等より抜粋

 

Ⅱ 授業づくりの一般的な手順と方法(社会科の場合)
①目標や内容等をつかむ  4つのアプローチ 後述
②単元の構成や毎時の授業の主な展開を考える
③展開の詳細を考える
④目標との関連で評価について考える

 

Ⅲ 教材からの授業づくりへのアプローチ
1 学習内容からのアプローチ

※学習指導要領(小)(中)からひろう  ※「これは使えるんじゃないか」という感覚
※教師の専門性、多くの引き出し     ※意図性 目標-指導-評価の一体化
△小3 特色ある地形・土地利用の様子 △発達段階?難易度? 〇発展学習・エピソードとして
△小4 自然災害から人々を守る活動  △強い関連性?  〇発展学習・エピソードとして
◎小4 先人の働き          ◎〇地域との関連 〇県央・県南 発展学習として
△小5 農業における食料生産       〇発展学習・エピソードとして
△小5 国土の自然環境と国民生活との関連 〇発展学習・エピソードとして
△小6 我が国の歴史上の主な事象   △小中の系統性?難易度? △導入(小4で既習)
△小6 我が国の政治の働き      △小中の系統性?難易度? △導入(小4で既習)
◎中2・地理 地形図読図   ◎土地利用・施設等(地図記号)・土地の傾斜・新旧地図比較
◎中2・地理 自然環境の特色 ◎「扇状地」
〇中2・地理 関東地方    〇自然(地形)・農牧業・観光業
〇中2・歴史 明治時代 明治維新・政治のしくみ(地方・身分制度)
〇「殖産興業」「廃藩置県」「県令」「華族」
△中3・公民 政治のあり方・しくみ  △現在と明治との比較の中で
〇理科……?
2 学習方法からのアプローチ
◎歴史  歴史の見方・考え方を活かして学ばせたい
◎歴史  時代の大きな流れを考えさせたい
◎地理  地形図の読図をさせたい
◎地理  地理的な見方・考え方を活かして学ばせたい
〇地理・公民  将来像を考えさせる学びをしたい
〇地理・歴史  小学校の学びを活かしたい
◎地理・歴史・公民・総合  情報収集のスキルを活用させたい
3 (学校の先生としての)教師の疑問・興味・関心からのアプローチ
※教育課程内の教科の構造 → 国語?道徳?社会?理科?総合的な学習の時間?
※意図性→深み  ※教師のセンス・感覚・知識・‟空気・におい”
4 生徒の疑問・興味・関心からのアプローチ
※総合的な学習の時間、教科横断的な学習にて、夏休みの自由研究
※体験・見学等の活動の中で
※「羅生門的アプローチ」
※偶発性→広がり
※△調査・追究活動のための十分な時間設定 △調査する場合の安全面の配慮
5 個人の疑問・興味・関心からのアプローチ
※生涯学習、自由研究、趣味的な活動・行動
ア 「那須野が原開拓」が「日本遺産」に認定 (5月25日付下野新聞より)
「明治貴族が描いた未来~那須野が原開拓浪漫譚~」
明治貴族が開拓した「那須野が原」の魅力が、広大な景観とともに当時を伝える別荘群や大規模農場、ワインなどの食も加えた構成文化財を通じて伝わる点などが評価された。
イ 勝海舟 晩年日光に別荘 矢板武と交流があった!?
ウ ブラタモリ「那須」
エ 記念講演「那須野が原と家族」
オ 見学会「華族の別邸を訪ねる②」 大山記念館、西郷神社、青木別邸
カ その他  旅行、地形、地名、名前、建物、古民家、邸宅 等々

 

Ⅳ 授業づくりの一例    地形図「那須疎水を読もう」
1 学習内容からのアプローチ
 ◎中2・地理 地形図読図
2 学習方法からのアプローチ
 ◎地理 地形図の読図をさせたい 詳細は当日の発表に